リスクの可視化が鍵。見えない通信を把握し、潜在的なリスクを早期に発見するセキュリティ診断とは?
- 祥貴 藤村
- 10月22日
- 読了時間: 6分

はじめに:見えなくなる通信、増え続けるリスク
AIの活用やクラウドサービスの普及によって、企業のネットワーク環境は急速に変化しています。以前は、社内ネットワークという「境界」を守れば安全を確保できました。しかし現在では、クラウドサービスの利用が進み、データの流れは社内外にまたがるようになりました。
その結果、「誰が」「どの端末から」「どんな通信をしているのか」を把握することが難しくなり、社内に潜むリスクを見逃してしまうケースが増えています。AIを活用するアプリケーションや、海外のクラウドサービスなど、従来の監視範囲を超えた通信が急増しており、セキュリティ担当者が“リスクの全体像を把握できない”という課題が深刻化しています。

見えない通信によるリスクとは?
リスク①:外部からの通信に潜む攻撃
サイバー攻撃の多くは、メールやWebサイトなどの公開されている情報から、社内ネットワークに侵入し、マルウェアを仕込まれることで外部サーバからの通信が可能となり、情報を抜き取る手口を取ることがこれまでの主な手法でした。しかし、最近の攻撃はクラウドサービスを経由したり、正規の通信に紛れたりするなど、従来のログ監視では異常を検知しにくくなっています。
ファイアウォールやプロキシサーバのログでは、「どの宛先に通信したか」は把握できても、「なぜその通信が発生しているのか」「通常と比べて不自然ではないか」といった行動の異常までは分かりません。そのため、マルウェアの遠隔操作通信や、乗っ取られた端末からのデータ送信といった“一見正常に見える不正通信が、長期間にわたり見逃されてしまうケースが発生しています。
リスク②:内部からの不正行為が可視化できない
外部攻撃だけでなく、社内の人による不正行為も見逃せません。たとえば、権限を持つ従業員や委託業者が、意図的にファイルを持ち出したり、社内サーバから大量のデータを転送したりするケースです。こうした内部不正は、社内通信で行われるため、「通常の業務通信」として扱われ、ほとんどのログ監視では異常として検知されません。
また、クラウドストレージや外部送信ツールを使って社内データを持ち出す場合も、通信先が「業務で利用している正規サービス」に見えるため、一般的な監視システムでは遮断や警告ができないことがあります。結果として、"内部からの静かな情報漏えい"が発生しても、誰も気づかないまま進行してしまうリスクがあります。
リスク③:設定ミスや誤操作による情報漏えい
内部の脅威は、必ずしも悪意のある行為ばかりではありません。日常的な業務の中で発生する「ケアレスミス」や「設定の誤り」も、重大なリスクを引き起こします。たとえば、共有フォルダやクラウドストレージのアクセス権限を誤設定し、外部から閲覧できる状態にしてしまうケース、AIツールや外部SaaSを利用する際、社内データを誤ってアップロードしてしまい、外部で再利用されてしまうケースもあります。これらは明確な攻撃ではないため、ログ上では「正常な通信」として扱われ、監視システムのアラートにも上がりません。
こうした「悪意のない内部リスク」は、通信の全体像を把握できていない環境では早期発見が難しいという特徴があります。誰が・いつ・どのようなサービスと通信していたのかを、実際の通信フローから客観的に把握することが、事故防止の第一歩となります。
NDR製品:Network Blackboxを利用した
セキュリティ診断サービス『Secure X-Ray』による
リスクの可視化
解決①:フルパケットキャプチャによるネットワークの見える化
ファイアウォールやプロキシのログ分析が「いつ、どこに通信したか」といった履歴の確認にとどまるのに対し、フルパケットキャプチャは通信の挙動そのものを追跡し、どのような通信がどの経路で行われているかを詳細に把握します。
これにより、個々のパケットの流れや相互の関連性、通信の継続性・異常な振る舞いといった、これまで“見えていなかった実態”を捉えることが可能になります。
つまり、ログ情報だけでは断片的にしか分からなかった通信の動きを、詳細なパケットの情報からネットワーク全体をより立体的かつ客観的に理解できるのです。
解決②:攻撃シナリオを洗い出す
フルパケットキャプチャによる詳細な通信データをもとに、エンジニアにより発見された異常な挙動から具体的な攻撃リスクシナリオを描き出します。
たとえば、社内端末から短時間に多数の外部宛先へ通信が行われていた場合、それはマルウェア感染後に外部サーバと通信している兆候かもしれません。
あるいは、特定のサーバからクラウドストレージに大量のデータが転送されている場合、情報持ち出しのリスクが疑われます。
このように、診断では単に「異常がある」と報告するのではなく、
・どのような経路で攻撃が成立しうるのか
・何が起点となり攻撃が可能となるのか
・どのようにネットワーク内で拡散する可能性があるのか
といった、攻撃の起点から最終的な被害まで攻撃のシナリオを再現的に提示します。
担当者はそれを通じて、抽象的な“リスク”を現実的な脅威として理解できるようになり、ネットワーク上の脆弱な部分を明確に認識できるようになります。
解決③:対応の優先度を把握
すべてのリスクを同列に扱うのではなく、攻撃が成立した場合の影響範囲や、攻撃者が容易に悪用できる経路かどうか、また異常が一時的なものか継続して発生しているのかといった複数の要素を総合的に評価します。
その結果、どのリスクから手をつけるべきか、どこを重点的に監視・改善すべきかが明確になり、現場レベルで実行可能な改善プランへとつなげていくことができます。
まとめ
通信環境が複雑化する今、企業ネットワークの中では“見えていないリスク”が確実に増えています。AI・クラウドなど新たなサービスの普及により、通信経路は多様化し、従来の監視だけでは異常や不正の兆候を捉えきれません。結果として、「どこで」「なぜ」リスクが発生しているのかが分からないまま、対処が後手に回るケースが少なくありません。
フルパケットNDR製品Network Blackboxによるセキュリティ診断サービス”Secure X-Ray”なら、ネットワーク上の通信を詳細に分析し、外部からの攻撃の兆候や内部での不審な挙動を、根拠をもってリスクの可視化をすることができます。「異常通信を発見して終わり」ではなく、攻撃のシナリオや影響範囲、対応優先度まで明確に整理することで、担当者が次に取るべき行動を具体的に判断できるようになります。
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